法政大学大学院 環境報道アーカイブ研究所                (研究は終了しています)

研究員等の職は、設立当時のもの

研究代表者 社会学部教授 小林 直毅
主たる研究分野 メディア研究、メディア史研究、ジャーナリズム研究
研究概要  かつてわが国は、高度経済成長によってもたらされた生命、生活を直撃する歪みとして、幾多の公害事件を経験してきた。そして公害事件の多くは、これもまた高度経済成長とともに普及したテレビジョンによって、ニュース番組やドキュメンタリー番組をつうじて、広く報道されてきた。公害事件、環境問題の原点といわれる水俣病事件を例にとるなら、この事件は、高度経済成長とともに普及しつつあったテレビの報道をつうじて多くの人々に知られるようになった。このように、わが国における公害・環境問題の歴史は、高度経済成長の歴史と表裏をなしているが、そこには、テレビジョンとその報道の歴史もまた分かちがたく結びついている。
わが国は「公害先進国」ともよばれ、公害病被害者の姿が、公害事件、環境問題の深刻さを世界に向けて訴えた。今日では、同じように経済発展を遂げるなかで深刻な環境問題に直面している中国などの諸外国からは、わが国の経済発展の足跡が公害事件や環境問題を「克服」した先行事例と見なされようとさえしている。また、環境問題がグローバル化するなかで、近年の諸政策においても、サステナブルな社会をデザインしていくうえで、わが国が主導的役割を果たすことが標榜されようとしている。
そうしたなかで、環境問題、それに連なる公害事件に関するテレビ報道の歴史的検証もまた、サステナブルな社会を構築していくためには不可欠な課題となるはずである。なぜなら、環境問題、公害事件といった出来事は、テレビ報道をつうじて、人びとの間で日常的、かつ広範に認知され、その具体的な様相が経験されてきたからである。ここに設置を申請する特定課題研究所では、公害事件、原子力開発、社会的リスクをめぐるテレビニュースやドキュメンタリーを、環境・公害問題の一群の公共的な記録としてとらえ、そのアーカイブ化をつうじて、テレビ報道における環境・公害問題の形成、変容、再構成の歴史的過程を解明していくことを目指す。
本研究所の申請者と研究員予定者の藤田真文は、上述の設立趣旨と同様の視点から、これまでに水俣病事件報道にかんする研究を進めており、その成果を『「水俣」の言説と表象』(小林直毅編著、藤田真文共著、藤原書店、2007年)として公刊している。また、報道番組のアーカイブ研究にも着手している。本研究所設置の構想は、こうした基礎的な研究の蓄積の上に立ったものである。
研究員
藤田 真文 社会学部教授
土橋 臣吾 社会学部准教授
津田 正太郎 社会学部准教授
設置期間 2009年10月1日~2014年3月31日
設置場所 社会学部棟 1023研究室