法政大学大学院 中国基層政治研究所

2017年5月1日更新

研究代表者 法学部教授 菱田 雅晴
主たる研究分野 地域研究(現代中国) ;現代中国の基層政治社会の動態分析
研究概要
1. 中国は、1970年代末以来の改革開放政策による社会主義からの移行過程にあり、日本が1968年以来誇ってきた「世界第二の経済大国」の座を獲得するまでに至った。「世界の工場」、「世界の市場」とも喧伝される中国の驚異的な経済成長は、東アジア地域における主役交代という単なる地域的経済事象にとどまらぬ普遍的意義を有しており、世界史的にも希有な経済成長プロセスは、この世界最大の発展途上国にして超大国・中国の政治社会構造に如何なる帰結をもたらすのか、中国の動向を精確に討究することは、実験不能ともされる社会科学研究面で大きな学術的な価値を有するのみならず、「動かし得ぬ」隣国としての本邦にとっても、極めて実践的な意義を有する。中国と如何なる関係をとり結ぶべきかは、日本の経済、産業はもとより外交に至るまで日本にとって死活的な重要性を有するからである。
2. 本学は、清国留学生の受入等を嚆矢として、伝統中国と密接な関係を結んでおり、現代中国に関しても、政治学、経済学、社会学等それぞれのディシプリンに基づく深い研究成果が蓄積されている。ただ、それらの現代中国に関する地域研究も各学部、研究科等のそれぞれの部局に分散しており、本学の研究機能を高度化し、ヨリ一層充実・発展させるためには、これらの研究成果と研究能力を如何に統合し、如何に研究組織面における基盤整備を行うかが本学の喫緊の課題となっている。
3. これらの諸点を背景として、社会主義システムからの移行過程にある現代中国の政治社会領域を対象に、「自律的な社会による国家への浸透プロセス」を明らかにすることを目的として、2006年以来「中国基層政治研究所」を5カ年の時限的措置として設置したが、同研究所の成功裡の終結を経て、今般本研究所を引き続き設置することとしたい。具体的には、1)農村社会セクターにおける”農村市民”の覚醒、2)都市セクターにおける住民自治、3)労働者層における利害表出行動あるいは中間集団の形成、4)市民社会の「再生」等基層レベルの政治社会事象を主たる分析対象として、国家・社会論、社会コーポラティズム等の観点に拠り、現代中国における新たな移行期政治社会発展モデルを構築することを目指す。
4. このため、科学研究費(文部科学省)、現代中国地域研究プログラム連携拠点事業(人間文化研究機構、NIHU)、日中知的支援事業(外務省)、トヨタ財団、笹川平和財団(SPF)等外部資金を獲得することを通じ、中国共産党、非政府組織機構、基層自治、工会組織を対象として、腐敗現象、廉政建設等いくつかのサブテーマを設定した上で、学内外の研究者を糾合し、共同研究形態により現地調査、文献書誌調査、研究会活動その他の研究作業を進める。
5. 併せて、政治学研究科等本学大学院各研究科所属の院生を海外現地調査、フィールドサーベイ等に参加させることにより、現代中国研究の実証的手法、あるいは国際共同研究遂行上の具体的課題を学ぶ機会とし、実践的な研究指導を通して、大学院学生の研究能力の向上を図る。また、本研究所の諸活動を通じて、各部局に分散した本学現代中国研究者をとり結ぶ学術ネットワークを形成し、以て、文部科学省科学研究費基盤研究等の研究プロジェクトの申請に向けた準備作業を進める。
6. その研究成果は、中国はもとより、米国、香港、台湾、韓国あるいは欧州その他の研究者を本邦に招聘し、国際ワークショップ、シンポジウム等を開催し、国際比較等の観点も含め、その理論的精緻化を図る。最終的には、適切な形での出版を検討し、研究成果の普及、公開を図る。
研究員
趙 宏偉 キャリアデザイン学部教授
王 敏 国際日本学研究所教授
大﨑 雄二 社会学部教授
福田 円 法学部教授
特任研究員
設置期間 2016年4月1日~2021年3月31日
設置場所 80年館 5階 510号室(菱田研究室)