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法政大学大学院 建築都市再生研究所

2019年4月24日更新

研究代表者 デザイン工学部教授 渡辺 真理
主たる研究分野 地方都市、地方都市中心市街地などの再生、活性化の方策を建築的手法および都市的手法を活用して研究・実践する
研究概要

本研究所の目的とする「建築および都市の再生」の視点は今日ますます社会の求めるものとなっている。

文化財保存的な建築の保存再生は、これまでもわが国でも広く行なわれてきたが、ここでいう「建築の再生」は必ずしも歴史的建造物だけを対称にするものではない。以前であればスクラップアンドビルドの対象になったであろう建築物に手を加えることで新しい用途をもった建築として再生していくこと、と同時に、建築再生の方法論を見出し、確立していくことが本研究所の研究課題である。たとえば近年、都市部でも山間部でも少子化に伴う小学校の廃校問題が取りざたされている。そういった小学校の空き教室はそのまま集会施設や倉庫、資料室などに転用されている事例が多いが、それでは消極的な解決策にしかならない。社会問題の結果として発生する建築問題はなかなか決定的な解が見出せないのが通例であるが、ここではそれに正面から取り組むものである。

「都市の再生」と「建築の再生」は必ずしも同じ次元で取り上げられるものではないが、その両者がお互いにかかわりあっているのも事実である。再び廃校問題の例に戻るなら、小学校が廃校になりある地域から消滅することは、その地域の人々にとっては、ひとつの建物の消滅を意味するだけでなく、小学区を媒介として育まれてきた地域共同体の重要な核が失われることなのである。

われわれは新潟県上越市の月影小学校を「体験宿泊施設月影の郷」にコンバージョンし、2003年の開設以来、15年間運営支援を行なっている。当初、年間利用客約1500名だった月影の郷は現在では利用者数8000名になった。千葉県鋸南町の保田小学校を「道の駅保田小」に改修したのもわれわれのグループである。「道の駅保田小」は2015年冬の開設以来、年間30万人を集客する鋸南町の拠点施設となった。

地方の問題を考えるときに大学連携と域学連携というふたつの基本的な方法を採用し、そこから取り組んでいることもこの研究所の基本的なスタンスである。そこには、複眼的な思考と一般解でなく個別解を考えることが、都市と建築の再生という困難な問題解決に至る方法論に到達するのではないかという期待と予感があるからである。現在、本研究所では、早稲田大学、工学院大学、日本大学、日本女子大学などとの大学連携を行なっている。毎年上越市で開催している「建築トークイン上越」も昨年で10周年を迎えたが、毎年10月に70名ー80名の学生を集めて「月影の郷」をベースに活動している。

 

研究員
下吹越 武人 デザイン工学部教授
設置期間 2019年4月1日~2024年3月31日
設置場所 デザイン工学部建築学科渡辺研究室